zine書影の無断使用──著作権とJASRACとカスカスのiPhoneスピーカー

Twitterで、本の書影の無断掲載についての議論を見かけた。いろいろと思うところがあったので、出版社の編集部で働く人間の感想として、また、ごく個人的な経験を共有するものとして、書くことにした。 話題になっているのは宝島社の書籍で、zineの製作者に…

やっぱ「邦ロック」聴いても音楽聴いたことにならなくない?という話──サマソニにおける差別的な言動を通して

◉2022年のサマソニ *12022年のサマソニについて。コロナ禍で、実に3年ぶりの開催だった。出演者の男女比が半々でないフェスには出ない、と明言したThe 1975がヘッドライナーとして世界初公開の新曲を披露した。リナ・サワヤマがLGBTQの権利に言及し、素晴ら…

最近の日記(記憶に残っている日)

・花 友だちが引越し祝いに大量の花を持ってきてくれる。家じゅうの花瓶に生けてもまだまだ足りないので、深い鍋に生ける。それでも足りないのでフライパンにも生ける。部屋がほんとうに明るくなって嬉しい。 ・乳首が3つある人 三丁目の上海小吃で大声で話…

戦争に反対する唯一の手段は……/文化的雪かき

・戦争に反対する唯一の手段は…… 戦争に反対する唯一の手段は、各自の生活を美しくして、それに執着することである。 吉田健一『長崎』 一月の末、夜中にtwitterを見ていたら、「ちゃんと生活したい。キーマカレーおいしく作れました。」という投稿が流れて…

上司の言うAIがAIじゃない率は異常

・上司の言うAIがAIじゃない率は異常 タイトルどおりです。最近はこんな話も出てきて、物騒な世の中になってきたなと感じるので書いておきたいと思います。 this.kiji.is タイトルの「AIじゃない」体験でいうと、以前青山のデザイン事務所で働いていたころの…

草の根で文化活動をやること/“やっていき”のこと

引用が多く、スクラップブックのようにまとまりのない文ですが、ここ一年の活動を通して、文化をつくること・お客さんをつくることについて感じた雑記です。 = = = = = ・草の根で文化活動をやること 約一年まえのこと。わたしは小雨が降って肌寒い九月のあ…

『呉服元町商店街』のこと

・『呉服元町商店街』のこと このたび、数人の編集者、イラストレーター、デザイナーで協力して『呉服元町商店街』という本を作り、世に出すこととなりました。高齢化や過疎化、ショッピングモールの出現など、様々な逆境のなかで失われつつある商店街の風景…

本は積んでおくだけで頭に入ってくるので読まなくておk

* 序文・積ん読が頭に入ってくる話(1/4) 早稲田松竹でセルゲイ・パラジャーノフの映画を観た帰り道、身の回りでいちばんシネフィルの友人がこんな冗談を言っていた。「もし上映中に寝ちゃっても、まぶたをとおして光が透過してくるから実質観たのと同じだよ…

マジのガチで誠実なフェミニズム入門(あるいはリベラル批判)

* 記事を書いたきっかけ・序文(1/7) この記事を書くきっかけとなったのは、フォロワーのこんなツイートだった。 フェミニズムと、表現規制反対って同居出来んのかな?矛盾した主張になるのかな? 原文まま。目に入ってすぐ、「同居できるよ!当たり前だよ!…

日記・雑記(3) ワンピースってどこがおもしろいの?と聞かれた話

<中学の教室っぽい話がしたい> 最近友達から、「ワンピース好きなの?意外!田舎のヤンキーが好きなイメージしかない。絆とか、友達(ダチ)とか、地元とか言ってる人のイメージしかない」と言われて、いやいやいや、めっちゃおもしろいからね!!!!!とその…

筋トレをして鬱になった話と、筋トレは虚しいという話

・筋トレをして鬱になった話 わざわざこんな記事を書く気になったきっかけはこれ。 やっぱそうや!筋トレすればいいんですよ!筋トレすればドーパミンもエンドルフィンもノルアドレナリンも出ますし、「幸せホルモン」セロトニンと、テストステロンで精神的…

地理、水場、引越しなどについての日記

1/2 この春、いま住んでいる東京から福岡へ引っ越す。もともと生まれ育った京都が愛憎ありつつも好きで、ミーハーだから東京も好きで、それ以外ではじめて住んでみたいと思えたのが福岡だった。 東京や大阪とは比べものにならないほどきれいな都心、外食産業…

二十一世紀に音楽を聴くということ

クレヨンしんちゃんを見ていたら、しんのすけたち園児組が、不良っぽい年上に絡まれるシーンが流れてきた。園児たちが冷や汗をかくなか、しんのすけが「ねえ、おにいさんたち…」と、オネエ口調の冗談でからかい、なんだこいつ、と逆に不良の方がどぎまぎする…

パターソン感想

ジム・ジャームッシュによる、ある詩人の一週間を描いた作品。共に暮らす妻はチャーミングで、ブルドッグのマーヴィンは視界に入るだけで思わず微笑んでしまう愛らしさである。詩の素晴らしさ、最後の永瀬正敏のシーンのひどさ*1などいろいろと見所のある映…

昔を語るということと、20センチュリーウーマンの感想

休みの日に保坂和志のエッセイを読んでいたら、ギリシア悲劇、エウリピデスの話が出てきた。話題に上るのは『トロイアの女』なのだが、面白いのは、ギリシア軍に破壊し尽くされたトロイアの街で、トロイアの女王ヘカベがこんな台詞を吐くところだ。 「しかし…

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 感想

1991年の台湾映画。観てからひと晩経ちはしたものの、いまだに「すごいものを見た」という感覚が自分の中で反響している。まとまらない状態のまま書いていく。 ===== この映画にはまず、中国(親)から分かれた台湾(子供)という図*1がある。そしてそれは…